【よくある質問】実包の転用について

日々の業務やお客様からのご相談のなかで、意外と誤解が多いのが「実包(弾)の用途別の取り扱い」についてです。特に、狩猟用で買った弾を射撃場で撃つ「転用消費」のルールや、用途ごとに異なる「実包の所持期限」は、知らずに違反状態になってしまうリスクが潜んでいます。

今回は、警察庁の最新の通達に基づき、実包の転用消費の正しいルールと、期限切れによる不法所持を防ぐための「最も安全で確実な実包の買い方」を解説します。

 

1. 狩猟・駆除用の弾は射撃に使える?「転用消費」の境界線

 

「狩猟や有害駆除目的で(無許可譲受を含め)買った弾は、射撃場で撃ってもいいの?」という疑問。 結論から言うと、「練習射撃」や「技能講習」であれば可能ですが、「標的射撃(公式のスポーツ競技)」には使えません。

 

根拠となる通達ース

  • 通達名: 「猟銃用火薬類等の取扱いについて(通達)」

  • 最新の発出番号: 警察庁丁保発第7号(令和7年1月24日発出)

  • の主要な発出番号: 警察庁丁保発第166号(令和元年12月2日発出) ※令和元年の通達において、指定管理鳥獣捕獲等事業にする扱いや、現在の転用消費の枠みが明確化されました。

「転用消費」にする具体的な記載内

通達内の「第4の6 転用消費」において、実包の用途転用について以下のように明記されています。

 

転用消費 火取法第17条第1項号の定により無許可で譲り受けた猟銃用火薬類等や、狩猟は有害鳥獣駆除(指定管理鳥獣捕獲等事業を含む。)の目的で許可を受けて譲り受けた猟銃用火薬類等については、狩猟び有害鳥獣駆除の用途にえ、射撃場における練習射撃(狩猟び有害鳥獣駆除の練習の一環として行われる射撃大会を含む。)に使用することはえない。 また、技能講習び狩猟前練習に使用する猟銃用火薬類等について、猟銃所持者がに猟銃用火薬類等を保有している場合には、当猟銃用火薬類等の譲受目的にかかわらず、これを使用することができる。

最新の警察庁通達(令和7年1月24日発出 警察庁丁保発第7号)において、以下の運用が明記されています。

  • 〇 可能なこと(狩猟・駆除の相互転用、および練習・講習) 狩猟用途で購入した弾を「有害鳥獣駆除」に使用することや、逆に有害駆除用途で購入した弾を「狩猟」に使用するなど、実猟間での相互転用は可能です。 さらに、これらの弾を射撃場での「練習射撃」(猟友会等の安全射撃大会など)、または「技能講習」「狩猟前練習」に使用することも公式に認められています。

  • × 不可なこと(スポーツ競技としての標的射撃) 日本クレー射撃協会や日本ライフル射撃協会が主催・公認するような「標的射撃」の公式競技大会には使えません。これらは狩猟の練習ではなく「スポーツ」とみなされるため、目的外消費となり違法です。 (※逆に、標的射撃用途で許可を受けて買った弾を、山野での狩猟や駆除に使うことも一切認められていません)

【重要】帳簿への記載について 転用消費をした際の帳簿記載は非常に重要です。狩猟用の弾を有害駆除や練習射撃で使った場合、「猟銃用火薬類等消費帳簿」の消費目的欄には、当初の「狩猟」ではなく、実際に消費した「有害駆除」や「練習射撃」と記載し、消費場所(実施した市町村や射撃場名)を正確に記帳してください。

 

2. 要注意!用途別「実包の所持期限」

 

「弾はいつまで持っていていいのか?」 実は、購入した目的によって法的な所持・消費期限が厳格に定められています。

  • 狩猟用(無許可譲受・許可譲受) 狩猟者登録の有効期間満了の日から「1年以内」

  • 有害鳥獣駆除・指定管理鳥獣捕獲等事業用 従事者証等の有効期間満了後「3ヶ月以内」

  • 標的射撃用(譲受許可) 明確な「〇ヶ月」という期限はありませんが、消費目的を達した場合は「遅滞なく」譲渡または廃棄することが求められます。漫然と何年も保管することは行政指導の対象になります。

この期限を過ぎて実包を保管し続けると不法所持となります。特に有害駆除用の「3ヶ月」はあっという間に過ぎてしまうため、厳重な管理が必要です。

 

3. トラブルを防ぐ!最も安全な実包の買い方・使い方

 

無許可譲受(年間300個)の枠を上限いっぱいまで買い、「最初から射撃場で練習用に撃つ目的」で運用している方を時折お見かけしますが、私はこの方法は決してお勧めしません。

消費の実態と本来の目的が乖離すると、所轄署の銃砲一斉検査等で疑義を持たれる原因になりますし、何より厳しい消費期限による不法所持リスクが高まります。安全かつ適法に実包を管理し、トラブルを未然に防ぐための「理想的な実包のサイクル」は以下の通りです。

  1. 射撃用の弾は、毎年きちんと「許可」を取る 射撃場で消費する弾は、毎年しっかりと「猟銃用火薬類譲受許可申請」を行い、許可証に基づいて購入・消費するのが一番安全で確実です。

  2. 狩猟・駆除用の弾は、実働に必要な分だけ調達する 無許可譲受の上限まで無条件に買うのではなく、実際の出猟に必要な適正量を見極めて調達します。

  3. 残弾は「転用消費」で綺麗に撃ち尽くす 猟期や駆除期間が終了した際、どうしても手元に残ってしまった端数の弾のみ、通達で認められた「転用消費」として射撃場の練習射撃で使い切り、自宅の保管庫に残弾を残さないようにします。(どうしても撃ちに行けない場合は、期限内に火薬店へ廃棄・譲渡の手続きを依頼してください)

銃砲行政は年々厳格化しており、意図せず「目的外消費」や「不法所持」になってしまえば、最悪の場合、猟銃の所持許可取り消しに繋がります。

正しく制度を理解し、クリーンな運用を心がけることが、長く安全に鉄砲を楽しむための最大の秘訣です。用途ごとの弾の購入計画や、残弾の適切な処理、各種許可申請の書類作成でお悩みの際は、火薬店・行政書士として的確にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。